放浪記
20年以上の世界放浪を綴った自伝的連載。各地での出会いと別れ、日々の断片を残しています。
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サハラ砂漠のオアシスで共同生活する話12(放浪記400)
ドイツ人の若者Mくんは、変化の時を過ごしていた。 彼は思うところがあり、ドイツを飛び出してモロッコへとやって来た。 旅人には準備万端に貯金をして、装備をしっかりと整えた上で、満を辞して旅に出るYくんのような人が一般的だ。 だがMくんは全く逆で、ただ思いのままに旅に飛び出して、流れ
サハラ砂漠のオアシスで共同生活する話11(放浪記399)
今回のモロッコ旅行では色々と強力な個性を持つ人たちと出会ったが、Cさんもなかなかのものである。 一般的に田舎人のイメージというと野生的であったり、粗野、素朴、優しい、人が良い、朴訥、人情が豊か、感情が豊かなどと言ったところだろうか。 Cさんはそういったイメージを”朴訥”の部分を除

サハラ砂漠のオアシスで共同生活する話10(放浪記398)
みんなが起き出してきた頃に誰かが朝食を作る。 当番制とかではなく、お腹がすいた頃に誰かが作るといった感じだ。 だから誰も気が向かないと朝食の代わりに昼食になったりもするが、誰も時間に追われているわけではないので、大した問題ではなかったりもする。 基本的には全員が必要な仕事に対して

サハラ砂漠のオアシスで共同生活する話9(放浪記397)
水瓶で水汲みをしたことのある人はそうは居ないとは思うが、はっきり言ってかなり重い。 水瓶一つで10キロくらいあり、そこに15リットルくらいの水を入れて運ぶのである。 そして、不幸なことに両手で運ぶには不自然な形なので、片手づつに水瓶を持って運ぶことになる。 合わせて50キロのもの

サハラ砂漠のオアシスで共同生活する話8(放浪記396)
ひたすらシンプルな砂漠の生活のゆえに、自然と日々の生活のリズムができてくる。 まず、朝になり日が上り始めると、瞬く間に暑くなる。 特に直射日光を浴びたテントというのは、サウナ並みの暑さになる。 これを僕たちは夏が来たと呼んでいた。 夏が来ればテントから這い出して、着込んでいる服を

サハラ砂漠のオアシスで共同生活する話7(放浪記395)
日々の生活は単純だが充実したものだった。 僕とIちゃんは外に張ったテントで寝ていたので、プライバシーや個人の時間を確保できたので、その点に関しては他よりも楽だったようだ。 テントでの生活には良い点と悪い点があり、プライバシーや自由さは素晴らしかったし、自然と密着した暮らしも気持ち

サハラ砂漠のオアシスで共同生活する話6(放浪記394)
キリのいい10人という人数での共同生活が始まった。 その中で最多の30%を誇るのが、我らが日本人チーム、僕とIちゃんとYくん。 そして、2番目に人数が多いのが、モロッコ人のFさんとA君の二人、そしてイギリス人のガンドルフさんとRさんの二人だ。 残りは、フランス人とドイツ人とオース

サハラ砂漠のオアシスで共同生活する話5(放浪記393)
オーストラリア人のOちゃんの旅の武勇伝は、聞いていて驚かされることが多い。 だが彼女のその見た目は、厳つい武勇伝とは反比例して、若くて美人の白人女性だ。 ジャニスさんのようなド派手な厳つさはなく、家庭的な雰囲気すら併せ持つ。 そんな彼女は、ロンドンからモロッコまで無一文でヒッチハ

サハラ砂漠のオアシスで共同生活する話4(放浪記392)
誰一人として実際に何が起こっているのか分からないまま共同生活が始まった。 おそらく誰一人としてこれと言った目標はなかっただろう。 だが、今になって思うとガンドルフさんには思うところがあったようだ。 彼はこの機会を利用して、自然発生的にコミュニティのようなものを作りたかったのかもし

サハラ砂漠のオアシスで共同生活する話3(放浪記391)
ガンドルフさんが運んできたのは、人だけでなく、数多くの道具類も一緒だった。 米や小麦や野菜類などの食料、フェスティバルで使われたカーペットやクッション類、調理器具や大工道具などだ。 その中で一番大きく、一番目を引いたのは、巨大な金属の物体だった。 1メートル以上ある大きさのパラボ

サハラ砂漠のオアシスで暮らす話2(放浪記390)
現在集まっているのは、僕とIちゃんのカップルと、日本人の友人のY君。 そしてガンドルフさんと、付き人のAくんだ。 明日になると残りのメンバーが集まってくるという。 このメンバーはガンドルフさんが今回フェスティバルをオーガナイズした中で、気に入ったメンツの中から時間に余裕のある旅人

サハラ砂漠のオアシスで暮らす話1(放浪記389)
僕たちはホテルで待ち合わせをして、皆で乗合タクシーに乗り、オアシスにある小屋へと向かう。 とりあえず、僕たちが一番乗りで、後から何人かが参加してきて、最終的には10人ほどで共同生活することになるらしい。 これからどんな生活が待っているのか、全く想像がつかない。 みんなで暮らす拠点

モロッコで21世紀を迎える話45(放浪記388)
最高に面白いアフターパーティーが終わり、日本人の友人のY君と如何にこのパーティーがスゴかったかについて熱弁を交わしているところへ、ガンドルフさんがやってきた。 いつもよりもさらに改まった表情をしている。 このフェスティバルが終わった後に、友人達を集めてオアシスで暮らすつもりなんだ

モロッコで21世紀を迎える話44(放浪記387)
実はジャニスさんの10トントラックにはお供がいて、キャンピングカーで旅するカップルが連れ添っていた。 彼らはジャニスさんとワイルドな彼氏のような野生的な個性ではなく、どちらかというと知的な風貌をしたヒッピートラベラーだった。 その彼氏がこのアフターパーティーでDJを始めた。 どう

モロッコで21世紀を迎える話43(放浪記386)
最高に気分の良い状態で新世紀を迎えることができた。 それは僕にとっては最高にご機嫌な100年が待っているという兆しだったし、そのためにはるばるサハラ砂漠までやってきたのだ。 朝日は過ぎ、日が昇ってきて暑すぎてまともに陽の下には居れないので、友人たちの集まるテントへと向かった。 昨

モロッコで21世紀を迎える話42(放浪記385)
僕たちは暗闇の中を光と音のする方向へ向かって歩いた。 ダンスフロアが近づいてくると、ステージの後ろにある遺跡/廃墟のようなものがスポットライトで照らされているのが見えてくる。 フェスティバルという特殊な状況も合わさって、神秘的な雰囲気がそこはかとなく漂ってくる。 あと数時間もすれ

モロッコで21世紀を迎える話41(放浪記384)
(以下内容転載禁止、法的対処有。) 僕もIちゃんもインドで何度もLSDを取っていたので、A君のようなドラマは何度か見たことがあった。 それなりに慣れてはいたが、やはり全裸で放浪している友人を目の当たりにすると、何とかしなければと焦ってしまう。 だが、ガンドルフさんや、DさんEさん

モロッコで21世紀を迎える話40(放浪記383)
(以下内容転載禁止、法的対処有。) 僕もIちゃんもA君に対して親しみを感じていて、友人だと認識している。 だが、僕たちが話すことができるのは、日本語とカタコトに近い英語、Aくんが話すのはモロッコ語とフランス語(モロッコはフランスの植民地だった)だけだ。 要するに共通する言語を持た

モロッコで21世紀を迎える話39(放浪記382)
(以下内容転載禁止、法的対処有。) LSDを摂取してフリップアウトするというのは、よくある話で、慣れている人からすると、いつもの話である。 99.9%の場合において、LSDの薬理作用が収まるとともに日常へと帰ってくる。 ごく稀に戻ってこないのは、何種類ものドラッグを合わせてやった

モロッコで21世紀を迎える話38(放浪記381)
(以下内容転載禁止、法的対処有。) 夕日を見終わって、友人たちが集まっているサハラ砂漠仕様の大きなテントに向かう途中で、ある噂を聞いた。 ガンドルフさんのお手伝いをしているA君が、LSDをとりすぎてフリップアウトしたというのだ。 フリップアウトとは、強烈な体験により通常の意識を失

モロッコで21世紀を迎える話37(放浪記380)
昼間に砂漠の日差しの下で半裸で踊るが、日差しのない夜は一気に冷え込む。 それは砂漠特有の気候なのだが、実際に経験してみると驚くほどのものだ。 街中や森の中では、建物や湿気や木々が気温や空気を保存するので、昼夜の寒暖差はあまり大きくならないのだが、ここサハラのど真ん中では話が変わっ

モロッコで21世紀を迎える話36(放浪記379)
そんな彼女たちは、黒塗りの巨大な10トントラックを運転して、ヨーロッパ中とアフリカ中を旅して暮らしている。 トラックがそのまま家になっていると同時に、フェスティバルを開催する機能も備えている。 巨大な発電機もスピーカーもあるし、フェスティバル中にレストランを開くだけの設備も兼ね備

モロッコで21世紀を迎える話35(放浪記378)
僕がジャニス・ジョプリンを超えると評するその女性は、4人の子供たちを引き連れていた。 年は3歳から11歳の女子たちである。 嘘か本当かは知らないが、強いエネルギーを持つ女性は、その強女遺伝子を後世に伝えるために女児を産むことが多いという。 彼女をみる限りでは完全に納得できる話だっ

モロッコで21世紀を迎える話34(放浪記377)
砂漠に降り注ぐ熱い日差しの下ではテントの中で寝続けることはできなかった。 テントの外に出ると、自分たちのいる島と周りを取り囲む湖が見渡せる。 僕たちはとにかく美しい絶景のど真ん中にいた。 そんな美しい景色の中から、張り裂けるような怒声が飛んできた。 トラックで旅しているカップルが