日本へ帰国する話8(放浪記164)

放浪記 #164 約4分 2,089字
目次

仕事

旅に出る前は、この旅が一度きりの旅で、日本へ帰って来たら一人暮らしをせずに、実家に住みながら音楽制作に集中しようと考えていた。

だが、インドであまりにも衝撃な体験をしたゆえに、インドへ舞い戻ってその体験を追求せずにはいられなくなっていた。

その為にはお金を稼がなくてはならない。

だが、アホな工業高校中退の自分には、まともな就職先など無い。

二十歳の学歴も経験もない男が雇われて高給を貰う方法は限られている。

肉体労働

僕は色々考えた末に肉体労働をすることに決めた。

ガリガリの映画オタクで元いじめられっ子の自分に肉体労働など出来るのかと思ったが、ゴアでデビルスティックで遊ぶことで、自分は運動ができないと言う思い込みが無くなりつつあったので、挑戦してみようと思えた。

二十歳という若い年齢は肉体の限界に挑戦するには完璧だと思ったし、インドの旅を乗り越えた自分には、なんだって出来るんじゃないかと言う自信もあった。

むしろガリガリで運動に自信がない自分だからこそ、肉体労働を経験すれば今までとは全く違う価値観に生まれ変われるのではないかと思った。

色々な肉体労働があるが、僕はその中でも最も危険で最も高給のとび職を選んだ。

その最大の理由は自分が高所恐怖症だからだ。

高所恐怖症でガリガリで運動に自信のない自分が、飛び込みでとび職の仕事をして高所恐怖症も運動苦手意識も乗り越えて、たんまりとお金を持って再びインドへ旅立つ。

かなり高度な挑戦だが、今の自分になら出来るはず。

挑戦する価値があるように思えた。

面接

幸いにも家から自転車で10分の所にとび職の会社を見つけた。

面接に行くとムキムキで気さくなお兄さんが迎えてくれた。

未経験でも良いし、ガリガリで運動が苦手で高所恐怖症でも良いと言う。

鍛えてやるから心配するなと。

早速次の日から仕事が始まる。

朝の6時半に事務所に集合してから現場に向かう。

仕事は4階建てのビルの屋上に足場を組む仕事。

とりわけ危険ではないが、高所は恐怖を呼び起こすし、体力にも自信がない。

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